2011年8月15日月曜日

『黄土地上来了日本人』

 今日は、旧日本軍が降伏した終戦記念日です。この日に相応しいかどうか、人によって見方が違うかもしれませんが、一冊の本を紹介したいと思います。『黄土地上来了日本人』(「黄色い大地に日本人がやって来た」)です。
 以前このブログでも紹介したことのある、中国山西省の黄土高原の農村で日本軍の三光作戦について、実際にこの作戦の被害者である老人達からその事実を聞き取って本にした大野のり子さんの二冊目の報告集です。
 ただ残念なことに、この本は、東京大学東洋文化研究所というところから出版されていて、一般の書店では販売されていなくて、寄贈された図書館でしか読むことができません。私の住んでいる長野県では、長野市や松本市の市立図書館にはなくて、地元の小さな市立図書館にはなぜか寄贈されていたので、幸運にも読むことができました。それともう一つ、編者の大野さんの「前書」以外は、全部中国語であるということです。
 しかし、内容は、幼いころに日本軍の三光作戦に遭遇した彼らの見聞きした事実がビッシリと凝縮されており、中国語のままであるが故に無用な感情注入もなく、三光作戦というものがどのようなものだったのかが連綿と語り継がれていきます。
 黄土高原にもう何年も住み着いて、聞き取りをしている大野さんは研究者でもなんでもありません。信濃むつみ高校のスタッフというのが彼女の肩書きのようです。そうした彼女がこの地に住み着いて三光作戦の歴史的事実を聞き取って日本人に伝えたいと考えるに至ったエピソードもまた感動的です。それは、「前書」に語られていますが、長くなるので後日機会があれば紹介していきたいと考えています。