2011年4月26日火曜日

莫言著 『白狗秋千架』

 このところ好天が続かず、きょうも雨が断続的に降っています。たまっていた農作業も一段落したので、前にもちょっと書いたことがある中国映画『故郷の香り』の原作を読んでみました。
 この映画の原作は、「アジアでもっともノーベル文学賞に近い」と言われている莫言の『白狗秋千架』(邦題『白い犬とブランコ』)です。日本語訳は、すでに絶版になっていて手に入りません。地元の図書館にもありませんでした。たまたま東方書店の在庫をチェックしていたら莫言の短編集の在庫があったので、それを買ってみたらその中にありました。
 中国語で20ページばかりの短編ですから、辞書を引きながら読んでもそんなに時間はかかりません。原作は、映画とはまったくちがいます。映画の美しい映像と悲しさと爽やかさが入り交じったような見終わったあとの印象からはまったく想像できない、ドロドロした強烈な読後感が存在しています。莫言は霍建起の映画にたいして「嫁に行った娘のようなものだから」と語ったと言われていますが、映画と原作はまったく別個の作品と考えた方が良さそうです。

 ところで、映画のなかに、「秋千(ブランコ)はなぜ ” 秋千 ” というの?」という会話があって、興味深かったのでちょっと調べてみたら、日本語でも秋千と書いてブランコと読ませるんですね。鞦韆というのがもともとの字らしいですが、どちらにせよ中国語から来ているようです。